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北朝鮮衛星 爆発し失敗 黄海上で消失 新型エンジン原因か


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北京、ソウル共同】日本政府は27日夜、北朝鮮が午後10時43分ごろ、弾道ミサイル技術を使用した発射を強行したと発表した。北朝鮮の朝鮮中央通信は28日未明、国家航空宇宙技術総局が偵察衛星「万里鏡(マンリギョン)1―1」を新型の衛星運搬ロケットに搭載して北西部東倉里(トンチャンリ)の西海(ソヘ)衛星発射場から発射したが、飛行中に空中で爆発し、失敗したと明らかにした。初期段階の分析で、新型エンジンが原因だとしている。
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 日本政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)で発射を速報、沖縄県を対象に避難を呼びかけた後、解除した。林芳正官房長官は発射後の記者会見で「黄海上空で消失し、宇宙空間への物体の投入はないものと推定している」と述べた。韓国軍は発射から数分後に北朝鮮側海上で多数の破片を探知したと発表した。
 北朝鮮は昨年、5月と8月にも打ち上げに失敗し、11月の3回目で成功していた。昨年の失敗時にはいずれも再発射に言及したが、今回は触れなかった。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記が表明している今年中に3機の衛星を打ち上げる計画に影響を及ぼしそうだ。韓国軍関係者は28日、原因を分析して再発射するには「相当な時間がかかるのではないか」との見方を示した。
 朝鮮中央通信は、新たに開発した「液体酸素・石油エンジン」に問題があったと報道。韓国の専門家は、灯油の主成分ケロシンを液体酸素とともに推進剤にしたとの見方を示し、関係を深めているロシアが支援した可能性を指摘している。
 日米韓3カ国の北朝鮮担当高官は28日の電話協議で、弾道ミサイル技術を使用した発射は国連安全保障理事会決議違反だとし、緊密な連携を確認した。北朝鮮は27日、6月4日午前0時までの間に「人工衛星」を打ち上げると予告していた。複数機体制で監視能力を高める狙いがある。27日には約4年半ぶりに日中韓首脳会談がソウルで開催。直後の発射には、日韓と中国の対話ムードへの反発もあったとみられる。