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除染多重下請け是正勧告 国連作業部会が報告書


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ジュネーブ共同】日本を昨年訪れ、人権と企業の現状を調査した国連人権理事会の作業部会は28日、東京電力福島第1原発事故後の除染作業での多重下請け構造を是正するよう日本政府や企業に求める勧告を盛り込んだ報告書を公表した。アイヌ民族の狩猟制限、外国人技能実習生を巡る問題も指摘、改善に向けた措置を取るよう要請した。
 作業部会は、借金返済のため除染作業を強いられたり労災補償を受けられなかったりする作業員がいることに深い懸念を示した。勧告には、福島第1原発から海洋放出する処理水に関する全情報の公表を続けるよう付け加えた。
 また、法律でアイヌの団体のサケ漁や林産品の収穫が制限されるなど「アイヌの伝統的な生計手段を支えていない」と指摘。男性に比べ賃金が低い女性やヘイトスピーチを向けられる性的少数者、職場を隔離される障害者にも言及した。
 実習生については、職場での暴力や、旅券没収による労働の強制などの問題を列挙した。
 作業部会の専門家らは昨年7月24日~8月4日、北海道や福島、東京、大阪、愛知などを訪問。政府や企業の幹部、市民団体の代表に会い事情を聴いた。