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広島市、招待状で停戦要求 原爆の日式典、イスラエルに


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 広島市が毎年8月6日の「原爆の日」に開く平和記念式典で、パレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルへの招待状に「多くの人々の命と日常が奪われていることは極めて遺憾」とし、一刻も早い停戦を求めるメッセージを記載したことが30日、市への取材で分かった。市担当者によると、攻撃を拡大するイスラエルに平和的解決を訴えるため、異例の対応をとったとした。
 イスラエルの招待を巡っては、ウクライナ侵攻を理由に2022年以来招待を見送っているロシアやベラルーシと対応が異なり、二重基準ではないかとの指摘が出ていた。市の担当者は「ガザの攻撃を容認しているわけではない」と話した。
 招待状はイスラエルのヘルツォグ大統領と駐日大使宛てで、30日までに発送した。招待状の文中で「戦争による殺りくを体験した被爆者の『こんな思いを他の誰にもさせてはならない』との平和のメッセージに触れ、核廃絶を含めた平和な世界の実現への一歩を踏み出してほしい」と強調し、こうした広島市の願いを受け止めた上で式典への出席を検討するよう求めた。イスラエルを除く、各国首脳への招待状にはこうした文章はなく「今年の式典にぜひご臨席」するよう案内している。
 もう一つの被爆地、長崎市は8月9日の平和祈念式典にロシア、ベラルーシ、イスラエルを招待するかどうかについて判断を留保している。