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「裏金」温存なお懸念


「裏金」温存なお懸念 自民党の再修正案を巡る構図
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党が政治資金規正法改正の再修正に応じ、今国会で成立する見通しとなった。公明党や日本維新の会の主張を受け入れ、パーティー券購入者の公開基準額引き下げや政策活動費の10年後の領収書公開に踏み込んだ点は一定の評価ができる。ただ、「ブラックボックス」と批判される政策活動費の透明化にはほど遠く、使途が国民に見えない「裏金」が温存されるのではないかとの懸念はなお拭えない。
 自民案では、政策活動費を政党から支給された政治家は使途について「組織活動費」「調査研究費」など大まかな項目別金額を党に報告。「年月」も開示するとしたが、これだけで適正な政治活動に使ったかどうかを判断するのは困難だ。
 鍵となるのは今後の検討課題である第三者機関の在り方だ。政治資金の使い方に疑義が生じた場合に厳しく監査し、罰則権限を設けるなど、実効性のある制度設計ができるかどうかが課題となる。自民が公明、維新に譲歩したのは、岸田文雄首相が主張する今国会での規正法改正実現を優先させたというのが実情だ。「抜け穴」を残すような改革に終わるなら、政治不信がさらに増幅するのは避けられない。