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女性健康課題3.4兆円損失 経産省「配慮で縮減可能」


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 【東京】経済産業省は、月経に伴う症状や更年期症状など女性特有の健康課題による欠勤や離職などによる社会全体の経済損失が年間約3・4兆円に上ると推計している。経産省担当者が31日の衆院外務委員会で島尻安伊子氏(自民)に答弁した。性差に基づく健康課題への配慮にあらゆる企業が取り組めば最大で年間約1・1兆円縮減できるという。
 経産省は2月、女性が長く健康で働ける環境整備を広く促す趣旨で経済損失の試算を取りまとめた。月経に伴う症状と更年期症状、婦人科がん、不妊治療の4項目を対象に、欠勤やパフォーマンス低下、休職・離職など労働生産性の低下による経済損失を推計。追加採用にかかる費用の推計を足し合わせた。
 不妊治療は男女双方の課題だが、女性に負担がかかりやすいと整理している。
 経産省の山影雅良商務・サービス政策統括調整官は「女性特有の健康課題が業務効率や就労継続に大きな影響を与える。男女の差による健康課題をよく理解して細やかに取り組むことが重要」と説明。一部企業では社内研修やアプリを使った健康管理などに取り組んでいると紹介した。
 島尻氏は「各国でも女性の健康支援を国家戦略に位置付ける潮流が生じている」と指摘。外交政策としても女性の健康政策を位置付ける観点から「上川陽子外相にリーダーシップを取っていただきたい」と求めた。
 上川外相は「積極的に取り組んでいきたい」と応じた。
  (明真南斗)