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居住禁止、最大500世帯 能登地震で認定可能性


居住禁止、最大500世帯 能登地震で認定可能性 長期避難世帯に認定されている石川県珠洲市仁江町地区=1日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震で大きな被害を受けた石川県が、自宅での居住を禁じられる「長期避難世帯」として7市町で計約500世帯を認定する可能性があることが1日、関係者への取材で分かった。認定されると他地域での再建を余儀なくされ、地区からの人口流出に歯止めがかからなくなる恐れがある。長期間住めなくなることへの住民の反発も予想され、県と各市町が調整している。
 避難生活を余儀なくされている住民は3319人。ビニールハウスなどの自主避難所に滞在する人もおり、生活再建に向けたサポートが急務だ。
 石川県は5月、珠洲市で大規模な土砂崩落が起きた4地区37世帯と、津幡町で宅地の盛り土が崩れる恐れがある1地区8世帯を長期避難世帯に認定した。県は「対策工事に2~3年が必要」と判断し、地元と調整して認定に踏み切った。
 輪島市、七尾市、志賀町、穴水町、能登町でも二次災害の恐れがあるとして、計24地区472世帯で現在も避難指示が続く。関係者によると、これらの地区も長期避難世帯となる可能性がある。
 24地区はいずれも地震による土砂崩れで被害を受け、集落が一時孤立状態に陥ったケースもある。一部では再被災を防ぐための工事が長期間に及ぶと見込まれ、自治体が住民らと転居先の協議を始めているという。
 認定されると被災者生活再建支援金が最大300万円支給されるが、元の家には住めず、別の地区で再建せざるを得なくなる。東日本大震災以降では地震や大雨で被災した10都県で認定され、一部では住民が帰還を断念したケースもある。
 約160世帯に避難指示が出ている輪島市海士地区の大角司さん(65)は「梅雨時期には再び土砂崩れが起きるのではないか」と不安視する。一方、自宅は数年前にリフォームしたばかりで「ローンがあり、支援金では足りない。(仮に認定されたら)借金だけ残る」と複雑な心境を明かす。