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医療、電気 相次ぐ家計負担 6月の制度変更 減税効果は不透明


医療、電気 相次ぐ家計負担 6月の制度変更 減税効果は不透明 6月から暮らし こう変わる
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 今年の6月は家計負担に影響する制度変更などが相次ぐ。年金は増額されるが物価上昇率に届かず、医療面では病院での自己負担が重くなる。企業の食品値上げも止まらない。一方、消費刺激のため定額減税が6月に始まるが、現金給付と組み合わせた複雑な仕組みとなり、家計を支える効果がどの程度発揮されるかは見通せない。
 2024年度の公的年金額は前年度比で2・7%増える。物価や賃金の伸び率よりは低く抑えられ、年金の実質的な価値は0・4%ほど目減りする。2カ月分まとめて支払われ、4、5月分は6月14日に受け取れる。68歳以下(1956年4月1日より後に生まれた人)の場合、自営業者らが受け取る国民年金は満額で月6万8千円(前年度比1750円増)だ。
 医療機関に支払われる主な診療報酬は6月1日から引き上げとなる。原則、初診料は従来より30円増の2910円、再診料は20円増えて750円。入院基本料は病棟の種類に応じて1日当たり50~1040円上がる。患者は診察料金の1~3割を窓口で支払う。
 森林保全を目的とする新税「森林環境税」の徴収が6月から始まる。1人当たり年間千円を個人住民税に上乗せする。住民税の千円上乗せは東日本大震災からの復興を目的に行われてきたが終了し、新税に切り替わる形となるので、税負担の重さは変わらない。
 大手電力10社と、大手都市ガス4社の6月請求分(5月使用)の家庭向け電気・ガス料金は、前月に比べ全社で値上がりとなった。政府の補助金がほぼ半減したためだ。7月請求分(6月使用)は補助金廃止により、電力8社が比較可能な範囲で過去最高となる。
 帝国データバンクによると6月は菓子や乳製品など食品614品目が値上げされる。円安の長期化や天候不順による輸入原材料価格の高騰が背景にある。1日からの値上げは、カルビーが計68品で店頭での上げ幅は3~10%程度。
 一方、家計を支える狙いから、1日から1人計4万円の定額減税が始まった。6月以降、所得税3万円、住民税1万円の計4万円を本来の税額から差し引く。納税額が少なく満額を減税しきれない場合は給付で対応する仕組みで、負担軽減を実感できるのはしばらく先になる可能性がある。