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軍事AIに「人道枠組み」 G7首脳声明で明記へ


軍事AIに「人道枠組み」 G7首脳声明で明記へ G7首脳会議共同声明案のAIに関するポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日米欧の先進7カ国(G7)は、イタリアで13~15日に開く首脳会議(サミット)で取りまとめる共同声明に、人工知能(AI)に関し「軍事分野での責任ある開発と使用を推進する枠組みの必要性」を明記する方向で調整に入った。国際人道法の準拠に言及し、兵器利用を巡る一定のルール共有を目指す。「安全、安心で信頼できるAIを促進し、人間中心のデジタル変革を追求する」と指摘。AIが生産性向上や質の高い仕事に資するよう労働分野の行動計画の策定に着手する。
 G7外交筋が2日、明らかにした。
 AIを巡っては、偽情報拡散の懸念から欧州連合(EU)で5月に規制法が成立し、日本でも大規模な開発事業者などを対象に法規制の検討が始まっている。サミット共同声明が示す内容は、今後の各国の議論に影響を与えそうだ。
 声明案は、AIを「社会の進化と発展に極めて重要な役割を果たせる」と位置付ける。2023年のG7広島サミットで推進を決めた生成AIの国際的なルール形成の枠組み「広島AIプロセス」に言及。この成果を前進させる重要性を確認し、G7以外の国や地域からの支援を歓迎する。
 AIの軍事利用に当たっては国際法の順守を求め、特に人道上の配慮を各国に呼びかける。司法への影響にも触れ「AIの使用が裁判官の判断や司法の独立を妨げてはならない」と警告する。
 労働分野では、AIによる生産性の向上と労働政策の強化に取り組むと盛り込む。働きがいのある人間らしい仕事と労働者の権利を実現し、適切な再教育を受けられるようにする行動計画の策定を担当閣僚に指示する。
 韓国で今年5月に開催された「AIソウルサミット」の成果を踏まえ、9月に国連で開かれる「未来サミット」に向けて協力していくことも申し合わせる。