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今国会の解散見送りへ 首相、裏金逆風が影響


今国会の解散見送りへ 首相、裏金逆風が影響 記者団の取材に応じる岸田首相=4日午前、首相官邸
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相は、会期末を23日に迎える今国会中の衆院解散を見送る方向で最終調整に入った。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた逆風の影響で内閣支持率が低迷し、各種選挙での敗北が続く。解散・総選挙を行えば劣勢は避けられないとの判断に傾いた。9月の党総裁選を控え、政権の立て直しを急ぐ。党内では早期の内閣改造論も浮上する。政権関係者が4日、明らかにした。
 首相は4日、今国会での衆院解散の可能性を記者団に問われ「今は政治改革をはじめ、先送りできない課題に専念している。結果を出すこと以外は考えていない」と官邸で答えた。最重要課題と位置付ける政治資金規正法改正は会期内での実現にめどが立っており、会期延長しない意向だ。
 当初、首相は会期末に合わせ衆院を解散して勝利し、無風で総裁選を再選される戦略を描いていた。だが内閣支持率は20%台から回復せず、4月の衆院3補欠選挙は全敗。5月の静岡県知事選や「お膝元」の広島県府中町長選のほか、今月2日の東京都港区長選でも自民推薦候補が落選した。
 公明党の山口那津男代表は地方選の相次ぐ敗北に触れ「真摯(しんし)に受け止めなければならない」と述べ、早期解散に慎重な姿勢を示した。自民幹部も「現状で解散は無理だ。首相から相談があっても反対する」と語った。
 首相は今月の定額減税実施や先進7カ国(G7)首脳会議などを政権浮揚につなげたい考えだが、思惑通りにいくとは限らない。規正法改正を巡り麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長との間の溝が露呈し、今後の政権運営や総裁選に不安を残す。
 首相に近い議員は国会閉会後、早期に内閣改造・党役員人事を断行し、ポスト岸田候補や若手を取り込むべきだと指摘。「刷新効果で支持率が上昇すれば解散すべきだ」と主張する。