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災害支援、ドローン元年 物資輸送「何倍も簡単」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震では孤立した被災地への支援でドローンが初めて本格運用され、物資輸送や状況確認に力を発揮した。支援に携わった人は「人が運ぶより何倍も簡単だった」と振り返り、災害を想定した実証実験に取り組む自治体も出てきた。今後は、被災地に素早く投入するための態勢づくりが課題だ。
 ドローン関連事業を手がける「エアロネクスト」(東京)は業界団体を通じて石川県輪島市から支援要請を受け、1月8日に現地で医薬品などの配送を始めた。自衛隊員が2~3時間かけて歩く孤立地域内の避難所までの片道約8キロを、10分程度で運搬したという。
 NPO「市民航空災害支援センター」(埼玉県加須市)の馬渕信幸さん(36)は1月中旬に能登町から人づてに連絡を受け、孤立した牧場のウシの飲み水や、倒壊した町施設に残された資料などをドローンで運んだ。
 「高い運搬能力に皆さん驚いていた。役に立てて良かった」との思いと同時に、以前から災害時のドローン活用に備えて準備していたこともあり「発生直後に連絡をくれれば、もっと力になれた」と悔やんでもいる。
 エアロネクストも当初、どこで誰が何を必要としているかの情報がなかなか提供されず、自ら関係機関に問い合わせては情報の正確性を精査する作業に追われた。担当者は「いざという時にすぐに飛ばせるシステムを整備しなければ」と指摘。全国の過疎地域などでつくるドローン物流網を転用できるよう、自治体との連携を深めている。
 自治体側では、徳島県が昨年度から孤立集落にドローンで物資を運ぶ実証実験を開始。北海道も本年度中に災害時の活用マニュアルをまとめる。どちらも民間事業者との連携を想定している。
 徳島県の担当者は「能登半島地震を受け、ドローンを使った災害支援の必要性をより強く認識した」と強調。エアロネクストにも自治体からの連絡が増えてきたといい、担当者は「活用は全国的な流れになるのではないか」と予測した。