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災害時孤立対策見直し 全都道府県 沖縄は14集落を予想


災害時孤立対策見直し 全都道府県 沖縄は14集落を予想 都道府県による孤立集落対策の見直し内容
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震直後、道路の寸断などで被災地支援が滞ったことを受け、47都道府県全てが災害時に孤立が予想される集落への対策の見直しを検討していることが8日、共同通信の調査で分かった。検討内容は飲料水や食料などの備蓄強化、ドローンによる物資輸送や孤立状況把握、衛星インターネットを活用した通信確保が目立った。都道府県が把握している集落数は計約1万8700で、対策への国の関与強化を求める声が上がった。沖縄県は孤立が予想される集落が14カ所。見直しの内容は「住民移送訓練の実施」「(衛星インターネットの)スターリンクの導入」だった。
 対象となる孤立集落数について、2014年に国が全国調査を実施して以降、全体の約7割の33都道府県が更新していないことも判明。専門家は「効果的対策のため最新の実態を把握しておく必要がある」と指摘する。
 共同通信の調査は4~5月に実施した。具体的な対策見直しの内容を自由記述で尋ねると、備蓄強化を高知など12県、通信手段の確保を宮城など9県が挙げた。ドローンの活用は長野など5県、ヘリコプターが離着陸できる場所の確保も茨城など4県が言及した。
 内閣府の調査では、道路や海路でのアクセスが途絶し、人の移動や物資の流通が困難になる状態を災害時の「孤立」と定義。14年の内閣府調査で孤立可能性があるとされたのは1万9145集落だった。
 集落数を10年前の調査から更新したのは「毎年1回」と回答した山形、岐阜、静岡を含む約3割にとどまった。岩手、長野などは国に改めて調査するよう要望すると回答したが、国は「新たに調査をする予定はない」としている。
 孤立予想集落に自治体が食料や水を備蓄しているかという質問に、市町村に「一任している」などの理由で半数以上が「分からない」と答えた。
 防災、危機管理に詳しい関西国際大(兵庫県)の斎藤富雄名誉教授は、財政基盤の違いなどから「防災対策に地域差が生じている」と指摘。市町村単位では備えや発生時の対応が難しい場合もあり「国や都道府県が非常電源や通信設備の配置など、事前の備えの基準を示して財政支援をする必要がある」と話した。
 能登地震では、土砂崩れなどで一部の集落が孤立し、避難所に食料や防寒具が不足する状態が続いた。