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期日前重視、訴え強化 前回20年は投票者の4割に 沖縄県議選


期日前重視、訴え強化 前回20年は投票者の4割に 沖縄県議選 期日前投票が始まり、投票箱に票を投じる有権者=8日、沖縄市
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 県議選の期日前投票が8日、始まった。県議選では2004年の導入後、期日前の投票者数が増加し、20年は投票者数の4割強を期日前が占めた。全体の投票率は下落傾向が続くも、期日前に限って見ると上昇を続けている。立候補者の多くが期日前投票を重視し、呼びかけを強めている。

 本島中部のある立候補者の陣営では、当選に向け目標に据えた1万票のうち、4千票を期日前投票の期間中に集める戦略を描く。地元の自治体議員や企業、青年部ごとに目標値を割り振っており、告示前に開いた集会では陣営幹部が「期日前が選挙の命。これがうまくいかなければ危機に陥る」とハッパをかけた。

 期日前投票は、初めて導入された04年の県議選で6万3374人が利用した。その後、制度の周知や商業施設などへの投票所増設もあり、買い物や仕事の合間に投票を済ませる生活様式の定着が進んだとみられる。

 前回20年は4選挙区が無投票だったが、実数で見ても期日前の投票者数は17万1752人まで増加し、投票者数の4割を超えた。

 県議選にとどまらず、各選挙で期日前投票は増加している。18年の県知事選では、台風接近の影響が懸念されたこともあって期日前投票が増え、当日有権者数の35・5%に相当する40万6984人と過去最高の数を記録した。この知事選のように、投票日当日よりも期日前の期間中の投票者数の方が多い“逆転現象”も、近年の県内選挙では見られるようになっている。

 候補者側にとっては、期日前投票に赴く人が増えていることに加え、投票の期間が選挙期間に重なり、直接の働きかけがしやすいことや集票の割り振りなど目算が立てやすいといったメリットがあるとみられる。

 期日前投票の存在感が増したことで、立候補者の選挙戦略も変容している。選挙戦に向け、結束や士気を高める「決起大会」は、多くの陣営が告示前に開催している。告示の翌日から投票できるため、今県議選でも、決起大会の場で期日前投票について入念に説明する場面が目立った。

 県議選では、有権者数を分母にした投票率でも期日前の割合は上昇しており、20年は19・68%だった。ただ、全体の投票率は新型コロナウイルス禍の影響も受けた20年が過去最低の46・96%となっていて、期日前投票の利用拡大の半面、下落傾向に歯止めはかかっていない状況が続いている。

 (當山幸都)