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ロ朝接近、世界の脅威に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本を含む先進7カ国(G7)が首脳声明でロシアと北朝鮮の軍事協力を非難するのは、両国の接近が世界の安全保障にとって新たな脅威になると捉えているからだ。北朝鮮がミサイルなどを提供し、ロシアが見返りに軍事技術を供与する関係が定着すれば、ウクライナ侵攻は長引き、北朝鮮が核・ミサイル技術をさらに高める恐れが強い。アジアと欧米に共通する危機感の表れと言える。
 軍事分野のロ朝接近は、昨年7月にロシアのショイグ国防相(当時)が訪朝し金正恩朝鮮労働党総書記と面会して以降、本格化した。バイデン米政権は同10月、北朝鮮がロシアにウクライナ侵攻で使う弾薬などを提供したと指摘。岸田文雄首相も今年4月、米議会での演説で、北朝鮮からロシアへの弾道ミサイル輸出に触れ「ウクライナの苦しみを増大させている」と非難した。
 一方、北朝鮮はロシアから衛星技術などの支援を受けているとされる。4月末には国連安全保障理事会で約15年にわたり対北朝鮮制裁の実施状況を監視してきた「専門家パネル」がロシアの拒否権で活動終了となり、協調関係を印象付けた。
 G7側には、ロ朝と中国の3カ国が結束を強めた場合、米中二大国を軸にした陣営同士が対立する「新冷戦」の構図になるとの見方もある。首脳声明案の台湾海峡や東・南シナ海情勢を巡る記述は昨年のG7広島サミットとほぼ同様の表現にとどめ、中国にロシアの軍事侵攻を止めるための圧力強化を重ねて促した。