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第三者機関、時期示せず 首相、規正法巡り「早期に」


第三者機関、時期示せず 首相、規正法巡り「早期に」 参院決算委で、立憲民主党の徳永エリ氏(手前右)の質問に答弁する岸田首相=10日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡り、岸田文雄首相は10日の参院決算委員会で、付則に盛り込んだ政治資金を監査する第三者機関の設置時期について「現時点で申し上げるのは難しい」と述べ、なるべく早期を目指す考えを示した。同日の参院政治改革特別委員会で自民案提出者の鈴木馨祐氏は、政策活動費の領収書の10年後公開に関し「原則公開だが、なじまないものも当然考え得る」と黒塗りの可能性に言及した。
 決算委で首相は黒塗りを念頭に「一般論として10年たてば公開の支障は相当程度低くなる」と理解を求めた。領収書公開の効果について「少なくとも政治責任が問われる。政策活動費の使用に抑止が利く」と強調した。
 第三者機関設置に関し、自民案が多くの項目の施行日とする2026年1月に間に合わせるよう公明党に求められ、組織の形態や権限など「政治活動の自由に関わる重要な論点の検討」が必要だと説明。日本維新の会の清水貴之氏から、26年1月までに政策活動費の領収書10年後公開や年間上限額の導入を要求されると「できるだけ早く検討を始めることは重要だ」と述べるにとどめた。公開対象を国会議員に限るため、地方議員や政党支部への支出の有無を特別委で聞かれた自民案提出者の勝目康氏は「想定していない」とした。
 首相は決算委で、自民議員が政治資金収支報告書への裏金不記載分を党支部に寄付し税制控除を受けた問題を問われ「違法でないが望ましくはない。規正法改正で必要な措置を講じる」と答えた。国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の使途公開、未使用分返納を今国会で法改正するよう迫られ「早期実現へ党として貢献する」と応じた。
 企業・団体献金を禁止していない自民案を、立憲民主党の徳永エリ氏や共産党の山添拓氏は「政策決定がゆがめられる」と疑問視。首相は「禁止ではなく透明性を高めて政治の信頼回復につなげるべきだ」と訴えた。