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「再審で組織的にプラスない」 捜査書類の廃棄促す 鹿児島県警、内部文書作成


「再審で組織的にプラスない」 捜査書類の廃棄促す 鹿児島県警、内部文書作成 鹿児島県警が作成した「刑事企画課だより」として報道された文書の一部。「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません」との記載がある(インターネットニュースサイト「Hunter」提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 鹿児島県警は11日、速やかな捜査書類の廃棄を促す内部文書を作成していたと明らかにした。県警によると「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません」との記載があった。再審請求では、検察側が新たに開示した証拠が無罪立証の決め手につながったケースもある。組織の“利益”を優先し、公文書廃棄を奨励するかのような内容に、専門家は「無罪の主張が難しくなる」と批判している。
 県警によると、文書は「刑事企画課だより」という名称で公文書に当たる。インターネットニュースサイト「HUNTER(ハンター)」が昨年11月、文書の写真を掲載し、報道していた。県警は、内容は同一だが、実物かどうかは確認できていないとしている。
 再審請求などで「『警察にとって都合の悪い書類だったので送致しなかったのではないか』と疑われかねないため、未送致書類であっても、不要な書類は適宜廃棄する必要があります」などとする文言もあった。
 県警によると昨年10月2日付で、捜査活動に従事する警察官を対象に、本部の課や署にメールで送った。
 県警内で「誤解を招くような曖昧な表現がある」として疑問視され、翌11月、「国賠請求や再審請求が提起された場合には、その対応に必要なものは引き続き廃棄せずに保管管理する必要があります」といった内容に改めたものを配布した。
 県警は「適切な保存管理を定着させるため、今後も指導を行っていく」としている。
 関係者によると、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕された前生活安全部長本田尚志容疑者(60)が札幌市のライターに送ったとされる文書にも、10、11月に配布された文書と同一内容のものが含まれていた。