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改憲で論点整理提示 自民 任期延長、原案見送り


改憲で論点整理提示 自民 任期延長、原案見送り 自民党の中谷元氏の任期延長に関する論点整理ポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党の中谷元氏は13日の衆院憲法審査会で、緊急事態時の国会議員任期延長に関する論点整理を提示した。災害などで選挙が難しい場合に延長を認める具体的な要件を定めた。改憲案の土台との位置付けだが、立憲民主党が条文化に反対しているのを踏まえ「個人的メモ」にとどめた。今国会中の原案提出は見送る。改憲派の国民民主党の玉木雄一郎氏は「岸田文雄首相の党総裁任期中の国会発議は不可能となった」と述べ、政治責任が問われると批判した。
 23日の会期末を控え、衆院憲法審の定例日は20日の残り1回。内閣不信任決議案提出後は採決まで他の審議が止まる慣例があり、20日は開かれずに今回が最後の実質審議となる可能性が高い。日本維新の会の青柳仁士氏は「条文案の手前の起草委員会すらできず、代わりにメモが出てきた」と非難した。
 中谷氏は論点整理で、緊急事態の対象として「自然災害」や「感染症まん延」などを例示。広範な地域に及び、解散や任期満了から70日を超えて選挙が難しい場合に内閣が「選挙困難事態」を認定し、議員任期延長を認めるとした。選挙困難事態は最大6カ月。延長した場合も通算1年が限度とし、衆参両院の3分の2以上の賛成による事前承認が必要と説明した。参院の緊急集会の機能充実や、国会に集まれない場合のオンライン出席導入にも言及した。
 中谷氏は「最終的に全会派が参加する条文案作成につながるよう期待する」として、閉会中審査の開催も重ねて提案したが、立民の逢坂誠二氏は記者団に「与党の中でも考えが違うので、条文化する状況にない」と語り、閉会中審査にも否定的な考えを示した。
 憲法審で公明党の北側一雄氏は「任期延長は必要だ。具体的に課題を検討する時期だ」と強調した。共産党の赤嶺政賢氏は憲法9条を生かした外交努力を主張。衆院会派「有志の会」の北神圭朗氏は論点整理に賛意を示し「一歩前進だ」とした。衆院憲法審では昨年6月にも、衆院法制局が緊急事態条項を巡る各党派の論点整理を示している。