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【自衛隊増強】候補者の賛否、拮抗<争点を探る・6.16沖縄県議選>7


【自衛隊増強】候補者の賛否、拮抗<争点を探る・6.16沖縄県議選>7 イメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は南西諸島の防衛の「空白地帯」を埋めるためとして、自衛隊配備を加速させている。県内では、2016年に与那国町に陸上自衛隊与那国駐屯地を開設し、沿岸監視隊を設置した。これを機に、宮古島市や石垣市でも相次いで陸自の駐屯地が開設。ミサイル部隊や弾薬庫が置かれ、機能強化の動きが続く。

 防衛省は22年12月、反撃能力の保有や防衛力強化を盛り込んだ「安保関連3文書」を策定した。沖縄本島でも配備計画は進み、今年3月にはうるま市の陸自勝連分屯地に本島で初となる地対艦ミサイル部隊が発足。同省は24年度、陸自沖縄訓練場(沖縄市)への弾薬庫の整備着手を計画する。那覇に拠点を置く陸自第15旅団を師団に格上げする方針も掲げている。

 一方で、計画が地元の強い反発を招くことも。県議選を前にうるま市石川で突如浮上したゴルフ場跡地への陸自訓練場の整備計画は、党派を超えて反対が地元でわき起こり、防衛省は断念に追い込まれた。地元への説明が不十分なまま「国防」を理由に住宅地近くに訓練場を整備する計画は矛盾を露呈した。

 県内で進む自衛隊配備は、海洋進出を強める中国や「台湾有事」への対応も絡み、県議選の重要な争点の一つだ。琉球新報が立候補者75人に実施した政策アンケートで南西諸島への自衛隊配備について聞くと、回答を得た70人のうち反対が33人(47・1%)、賛成が32人(45・7%)と賛否が拮抗(きっこう)した。

 玉城デニー知事を支持する県政与党の立候補者を中心に反対の意見があり、野党の自民や中立の公明、維新などが賛成を選ぶ傾向があった。

 台湾有事を巡る日中間の緊張について、政府にどのような対応を求めるかを聞いたところ、40人(57・1%)が「より柔軟な態度」を求めた。「より強い態度」が19人(27・1%)、「今の外交方針でいい」が6人(8・5%)などとなっている。

 県議選の結果は自衛隊強化を巡る玉城県政の対応にも影響を与える可能性があり、有権者の判断は重要になる。

 (’24県議選取材班)
 (おわり)