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外国人材確保を明記 「育成就労」へ 改正入管難民法成立


外国人材確保を明記 「育成就労」へ 改正入管難民法成立 外国人材受け入れの経過
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度「育成就労」を創設する改正入管難民法などが14日、参院本会議で自民、公明、日本維新の会、国民民主各党などの賛成多数により可決、成立した。公布から3年以内に施行される。労働力不足解消のため、人材確保を目的に明記。「国際貢献」を掲げ、1993年から続く技能実習は廃止となり、政策の転換を迎える。政府は有識者会議を設置し、制度の運用について検討する。
 育成就労は未熟練の労働者を受け入れて、即戦力とされる「特定技能1号」の水準に原則3年で育てる。熟練した技能を要する「特定技能2号」に移行した後は、事実上永住も可能。受け入れるのは農業、建設など16分野で、特定技能と対象をそろえて一体運用し、長期就労を促す。
 技能実習は途上国への技術移転が目的だったが、実態は安価な労働力の確保手段となっていた。職場変更が認められず、劣悪な環境から逃れる失踪者も続出。育成就労では、同じ業務分野で職場を変える「転籍」を一定条件で認める。
 技能実習で受け入れ仲介を担う監理団体は「監理支援機関」とし、外部監査人の設置を義務付ける。将来的な永住者の増加も見込まれ、納税などを故意に怠った場合は永住許可を取り消し、別の在留資格に切り替える規定も設けた。
 外国人に身分証として交付される在留カードと、マイナンバーカードを一体化した「特定在留カード」を発行する新制度も創設された。
 採決前の討論で、立憲民主党の牧山弘恵氏は「制度の基本構造は変わらず、抜本改革とはほど遠い」と批判。立民と共産党、れいわ新選組は採決で反対に回った。