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永住取り消し可能に 当事者懸念「差別的」


永住取り消し可能に 当事者懸念「差別的」 在日本大韓民国民団が国会前で開いた、撤廃を求める集会=6日
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「育成就労」を創設する改正入管難民法には、いったん付与した永住許可を取り消せる規定が盛り込まれた。故意に税金を納めないといった悪質な場合に取り消し、在留資格を切り替える。政府は、病気や収入減を理由とする未納など「やむを得ない場合」は対象外と説明するが、当事者は「差別的で立場が不安定になる」と懸念を深める。
 出入国在留管理庁によると、国内に在留する永住者は2023年末時点で約89万人。育成就労は将来的に永住も可能とされる特定技能への移行を想定しており、今後の増加が見込まれる。許可の要件は、ガイドラインで「5年以上働き在留が10年以上」や「納税など公的義務の履行」などと定められている。
 政府は取り消し規定新設の理由として、支払い能力があるのに、許可後に税金や社会保険料を支払わない事例があったと説明。自治体が入管に通報できる仕組みも導入した。
 取り消した場合は「定住者」など、別の在留資格への変更を検討する。「特別永住者」として在留する、戦前に日本へ渡った韓国、台湾人とその子孫らは対象外となる。
 当事者や支援団体などからは不安の声が上がる。改正入管法の成立を受け、在日本大韓民国民団(民団)中央本部の金(キム)利中(イジュン)団長は「永住外国人に対する偏見の助長や排外主義につながることを危惧せざるを得ない」と発表。国会前で6日に開かれた民団の集会には約500人が参加し、在日本韓国人総連合会の田(ジョン)興(フン)培(ベ)会長が「行政の裁量で永住許可が取り消されかねない」と不安を語った。