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原発、食料安保で共同声明 平和サミット、80ヵ国支持


原発、食料安保で共同声明 平和サミット、80ヵ国支持 スイス・ビュルゲンシュトックで、各国の演説を聞くウクライナのゼレンスキー大統領(中央)=15日(スイス外務省提供・共同)
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 【ビュルゲンシュトック共同=畠山卓也、小玉原一郎】ロシアに侵攻されるウクライナが提唱する和平案「平和の公式」を協議するスイス中部ビュルゲンシュトックでの「世界平和サミット」は16日閉幕し、ロシアが占拠する原発の安全確保や食料安全保障、強制連行された市民の帰還の3項目を盛り込んだ共同声明を採択した。(5面に関連)
 主催国スイスによると、80カ国と四つの国際機関が支持したが、新興国のインド、サウジアラビア、南アフリカなどは加わらなかった。
 共同声明で国際的な結束を示してロシアに外交圧力をかけ、最終的に平和の公式をのませたい考え。ゼレンスキー大統領は、国際的に承認された行動計画を策定後、ロシアとの折衝が始まると主張した。ただロシアが譲歩する兆しはなく、影響力を持つ中国はサミットを欠席。戦争終結への道は険しい。
 平和の公式はロシア軍の即時全面撤収などを含む10項目。ウクライナは今回、侵攻に中立的な国々の同意を得ようと、ウクライナ南部ザポロジエ原発の安全確保や、穀物の安定供給に基づく食料安全保障、ロシアに拉致された子どもたちの帰還の3項目に議論を絞り込んだ。
 スイスは、和平プロセスを進めるにはロシアの関与が必要だとして、両者の直接対話に向けて準備に入る考え。
 全体会合では、西アフリカ・ガーナのアクフォアド大統領が「平和の公式は、持続的な平和に至るための重要な枠組みだ」と述べた。ウクライナの隣国モルドバのサンドゥ大統領も、ウクライナ産穀物輸出を促進しているとして「食料安全保障の点で一致し、対策を取っている」と強調した。
 これに対し、ロシアのプーチン大統領はサミット開催を控えた14日の演説で、併合したウクライナ東部・南部4州とクリミア半島がロシア領であることを国際条約で確認することや、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟断念などを和平交渉入りの条件として改めて要求した。