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還流再開 幹部協議で決定 自民裏金事件 22年、新基準導入も


還流再開 幹部協議で決定 自民裏金事件 22年、新基準導入も 政治資金還流決定の構図
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党安倍派の政治資金パーティー裏金事件で、一度中止された資金還流に関し、2022年8月に開かれた幹部協議で再開が決まったと派閥関係者が東京地検特捜部の事情聴取に供述していたことが17日、関係者への取材で分かった。還流金に新たな基準が導入されたとも説明したという。
 協議に参加した幹部議員4人は国会で「協議で結論は出なかった」と説明。こうした主張を否定する供述が明らかになったことで、改めて説明責任を問われる可能性がある。共同通信の取材に、4人は国会での説明と同じ主張をするなどした。
 幹部の1人、下村博文氏が事務局長に還流再開を複数回要求していたとの派閥関係者の供述が既に判明しているが、幹部協議に関する具体的な供述内容が明らかになるのは初めて。
 協議は22年8月5日、当時会長代理だった塩谷立氏の議員会館事務所で開かれ、塩谷氏のほか、同じく会長代理の下村氏と事務総長の西村康稔氏、参院側会長の世耕弘成氏、事務局長で会計責任者の松本淳一郎被告(76)=政治資金規正法違反罪で公判中=が参加。22年4月に当時会長だった安倍晋三元首相=同7月死去=が中止を指示した資金還流を再開するかどうかが議題となった。
 関係者によると、派閥関係者は特捜部に対し、この場で議員から(1)パーティー券の販売ノルマ超過分が10万円未満の場合は還流しない(2)超過分が10万円以上の場合は10万円未満の端数を切り捨てて還流―の提案があり、採用が決定したと話した。検察側は被告の公判で、この基準が適用されたと明らかにしている。
 また還流金を政治資金収支報告書に記載する方法も議論され、各議員が開くパーティーの収入に上乗せして計上する案や、議員の資金管理団体に寄付する形で記載する案が出たが結論は出なかったと説明したという。
 国会の政治倫理審査会で、西村氏と世耕氏は還流再開を巡り「結論は出なかった」と主張。下村氏も「結論が出ず、その後復活した」とした。塩谷氏は「具体的に決めてはいないが、(還流を)継続するしかない状況で終わった」と述べた。
 松本被告の初公判で検察側は還流再開の経緯や政治家とのやりとりには触れなかった。第2回公判は18日に開かれる。