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逃げ切り許されない


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党安倍派で一度は中止された還流の再開が、幹部議員らの参加した協議で決まったとの供述が新たに判明した。政治資金規正法の改正議論の出発点となった事件の核心に関し、二つの主張が真っ向から対立することになる。今国会の会期末が23日に迫るが、うやむやのままの逃げ切りは許されない。
 幹部議員4人は、国会の政治倫理審査会でも「結論は出なかった」などと繰り返し主張し、還流再開の詳細が明らかになることはなかった。
 取材にも再開の決定過程について明言を避け、密室での協議で何が話されたのか今も不明のままだ。
 5月に一連の事件で初の正式裁判となった安倍派事務局長松本淳一郎被告(76)の初公判でも、検察側は起訴内容と直接関係がないと整理し、特定の政治家の名前や、還流の具体的な経緯には一切触れなかった。
 透明性が求められるはずの政治資金で国民の知らぬ間に続けられてきた裏金づくり。事件の教訓を生かすには徹底した事実の解明と、事情を知る当事者が説明責任を果たすことが欠かせない。