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指示権行使「厳格に」 首長ら、運用で国に要望 地方自治法改正


指示権行使「厳格に」 首長ら、運用で国に要望 地方自治法改正 改正地方自治法のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 19日に成立した改正地方自治法は、大災害などの非常時に、国の指示権を拡大した。地方自治への介入について懸念がある中、安易に行使しないよう厳格な運用を求める声が上がった。 (1面に関連)
 政府は想定外の事態に備えるための改正だとしているが、岩手県の達増拓也知事は「危機対応は分野ごとに国・地方の役割を整理し、個別法を整備することが原則」とコメント。「政府には平時からの備えを求める」とくぎを刺した。
 新潟県の花角英世知事は19日の記者会見で、現状では非常事態に迅速に対応できないと指示権拡大に理解を示した。ただ「行使は慎重に判断する必要がある」とも指摘。「(行使を)判断する前に国と地方が話し合うべきだ」と強調した。
 北海道の鈴木直道知事は18日の記者会見で「地方自治の本来の趣旨に反し、安易に行使されないように運用することが大切だ」と述べた。
 静岡県南伊豆町の岡部克仁町長は、自治体が「国の指示待ち」になることを懸念する。町は伊豆半島の最南端に位置し、南海トラフ巨大地震では最大20メートル以上の津波が想定される。災害時は他の自治体との相互支援が重要だとして「『国の指示がないから』と、自治体が自発的に動くのを、ためらう事態が起こらないか」と話した。
 東京都世田谷区の保坂展人区長ら首長や議員、市民でつくる「ローカルイニシアティブネットワーク」など4団体は「自治体の理解や同意を必要とせずに、(国が)指揮命令権を手にするような改正は許されない」とする抗議文を出した。