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性犯罪歴確認法が成立 子の安全確保へ就業制限


性犯罪歴確認法が成立 子の安全確保へ就業制限 日本版DBSのイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を雇用主側が確認する「日本版DBS」創設法は19日の参院本会議で全会一致により可決、成立した。子どもの安全確保のため、学校や保育所に確認を義務付ける。性犯罪歴がある人は刑終了から最長20年採用されないなど就業を制限される。性犯罪歴がなくても、雇用主側が子や親の相談を受け「性加害の恐れがある」と判断すれば、配置転換など安全確保措置を取る。準備期間を経て2026年度にも始まる。
 林芳正官房長官は記者会見で、職業選択の自由とのバランスを巡り「子どもを性暴力から守るために、許容されるものとして検討してきた」と述べた。政府は、就業制限の在り方や「性加害の恐れ」の判断基準など運用の詳細についてガイドラインを作成する方針。制限の乱用が懸念されるため、内容が焦点となる。
 略称は「こども性暴力防止法」。DBSは英国の制度を参考にした。
 性犯罪歴の確認や安全措置は、行政の監督の仕組みがある学校や幼稚園などに義務化。学習塾や放課後児童クラブなどは任意の「認定制」。国の認定を受けた事業者は同様の義務を負い、広告表示が可能となる。
 フリーランスの家庭教師ら雇用関係のない個人事業主は対象外。
 確認する犯罪は有罪判決が確定した「前科」に限定。刑法犯のほか、痴漢や盗撮など自治体の条例違反も含む。照会期間は拘禁刑(懲役刑と禁錮刑を25年に一本化)で刑終了から20年、罰金刑は10年とする。ストーカー規制法違反や下着窃盗は確認対象としていない。
 DBSの情報照会システムはこども家庭庁が構築。雇用主側からの申請を受け、性犯罪歴が確認されれば、まず本人に通知する。内定を辞退すれば雇用主側に「犯罪事実確認書」は交付しない。
 新規就労者のほか現在働いている人も対象とする。「性加害の恐れがある」と判断した人には(1)子どもと接する業務からの配置転換(2)子どもと2人きりにならないようにする―などの安全措置を取る。措置が難しい場合は最終手段として解雇も許容され得る。