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水道水PFAS 全国調査 政府初、汚染の実態把握へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が各地の浄水場や河川で検出されている事態を受け、政府が水道水の全国調査に乗り出したことが22日、分かった。汚染の実態把握が急務と判断した。PFASに特化し、小規模事業者にも対象を拡大した大規模調査は初めて。政府関係者が明らかにした。今後進める水質目標の見直しに生かす。
 政府が5月下旬、47都道府県の担当部署や国認可の水道事業者などに文書で要請した。PFASの健康影響については確定的な知見がなく、政府は水道水や河川の暫定目標値について、代表的な物質PFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)としている。
 PFASは水や油をはじき、熱に強い特徴があり、フライパンのコーティングや食品包装など幅広く使われてきた。自然環境では分解されにくく「永遠の化学物質」とも呼ばれる。米軍や自衛隊基地、化学工場周辺で検出される事例が多い。
 環境省が38都道府県の河川や地下水を対象にした2022年度の調査では、16都府県で目標値を超えた事例があった。
 今回の調査対象は、水道の蛇口から出る水などで20~24年度に検出された最大濃度や、関連する浄水場の名前など。目標値を超えた場合の対応や、検査していない場合は理由や今後の実施予定についても回答を求める。期限は9月末。
 岡山県吉備中央町の浄水場では、目標値の28倍となる1リットル当たり1400ナノグラムのPFASが検出。取水源の上流近くに野ざらしで保管された使用済み活性炭から流出した可能性が高い。政府関係者は「工場などが上流になくても、下流で高濃度になる可能性が否定できない状況だ」と危機感を強めている。