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中小の保険料負担、課題


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 短時間労働者が厚生年金に加入する際の「企業規模要件」の撤廃には、従業員数により加入の有無が異なる状態が解消され、パート労働者らの将来受け取る年金額が増える効果が見込める。ただ、保険料を折半することになる中小企業の負担増が課題で、国による支援策の検討が急務になる。
 厚生年金は主に正社員を対象として設計されてきた。就職氷河期世代などを中心に、望まずに非正規雇用となる労働者らが増加。こうした短時間労働者が厚生年金に加入できれば、全国民共通の基礎年金に加え、賃金に比例した厚生年金が受け取れるようになり、老後の安心感は増す。
 働き方の多様化を踏まえ、厚生労働省には年金制度の公平性を高める狙いもある。
 企業規模要件は、経営者側の意見も考慮し段階的に緩和されてきた。2020年の法改正により、22年10月から従業員101人以上に。現在、厚生年金に加入する短時間労働者は90万人程度だ。24年10月からは要件が51人以上となって、さらなる加入が見込まれる。
 厚労省の有識者懇談会では、要件撤廃を巡り企業団体から影響を不安視する意見が目立つ。物価高騰などに伴い経営コストが高止まりする中で、保険料負担が重なることへの危機感が強いためだ。厚労省は支援策を検討する方針で、年内をめどに具体策を詰める。