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宮古島市長選 波乱含みでのろし 来年1月 県議選のしこり抱え、保革共闘に亀裂〈ニュースのつぼ〉沖縄


宮古島市長選 波乱含みでのろし 来年1月 県議選のしこり抱え、保革共闘に亀裂〈ニュースのつぼ〉沖縄 投開票日の前日に開かれた打ち上げ式で、支援者を前にあいさつする國仲昌二氏=15日、宮古島市平良
この記事を書いた人 Avatar photo 友寄 開

 25日、宮古島市内で前県議の國仲昌二氏(63)が来年1月の市長選に向けて出馬表明した。所属していた組織から抜け、支援団体に支援を要請せず、1人で政治活動をスタートさせるとした。保革共闘で座喜味一幸市政を誕生させた政治勢力「ワンチームみゃーく」の立役者で調整役の國仲氏が抜けたことで、組織の弱体化が露呈した形となった。来年1月に予定されている市長選の先行きがより不透明となった。

■「まとめ役」苦杯

 長期政権を築いてきた前市長の打倒を掲げて、前回市長選に向けて「オール沖縄」勢力と保守系元市議らによる「ワンチームみゃーく」が誕生し、座喜味市長を当選させた。この組織の調整役として保守や革新派をまとめてきた1人が國仲氏だった。

 今年6月16日に投開票された県議選では、宮古島市区(定数2)に保守系候補者2人、革新系の國仲氏の計3人が立候補した。保守分裂選挙になったこともあり、関係者の中で國仲氏優勢との見方が大半を占めた。

 しかし、ふたを開けると國仲氏の得票数は6454票でトップの新里匠氏(47)に約1500票差を付けられ、落選した。國仲陣営の関係者は「ワンチームみゃーくの保守派の票が他の候補者に流れ、獲得した票は革新派のみだ。ワンチームみゃーくの実情はぼろぼろだ」と吐露した。座喜味市長が國仲氏の陣営に入ることはなかった。

■1人の政治活動

 「市長を支えるために保守、革新の意見集約、調整などまとめ役としての役割にエネルギーを集中させてきて、本来の自分の政治的主張が満足にできない状況が続いた」。25日、宮古島市内で会見を開いた國仲氏はこう述べた。自身の南西諸島への軍備配備を進める政府に明確な反対ができなかったなどとして「主張が中途半端なまま政治家を終えることになり、全く不完全燃焼」と出馬した理由を語る。

 自らが幹事長を務める立憲民主党県連からの離党やワンチームみゃーくの幹事長を辞任する方針と説明。出馬表明の会見にも関わらず、支援者の姿は1人も見えなかった。

 國仲氏の決断に、周辺はワンチームみゃーくにとってマイナスになるとの見方を強くしていた。考え直すように説得を試みた関係者は「ここまで本人の意志が固いとどうしようもない」と話した。

■ワンチームに不透明感

 今後、市長選に向けて保守側やワンチームみゃーくは候補者選考委員会を立ち上げる見通し。県議選で保守系の新里匠氏と下地康教氏(64)が分裂選挙を戦ったため、市長選に向けて、候補者1本化に向けた調整も難航が予想される。

 ワンチームみゃーくは県議選であらわになった保守と革新派のみぞを埋め、再び協力体制を築けるかどうかに注目が集まる。

 出馬会見で、市長選に向けたワンチームみゃーくなどの組織との協力体制を問われた國仲氏は「先の展開については、現時点で何も考えていない」と述べるにとどめた。ワンチームみゃーくの先行きが不透明なまま、市長選ののろしが上がった。

 (友寄開)