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ゲノム検査負担減検討 がん医療 5年で登録7.6万件


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 がんに関連する数十から数百の遺伝子を一度に調べ、有効な治療を探す「がん遺伝子検査」について、厚生労働省が幅広い患者が受けられるよう負担費用の軽減策検討を始めたことが29日、分かった。自由診療と保険診療を例外的に組み合わせる制度の対象とする方向だ。2019年6月に保険適用となって5年。がんゲノム情報管理センターに登録された検査件数は今年4月末までに7万6千件を超えた。
 国は従来の臓器ごとのがん治療とは違い、患者ごとに合う治療を調べるがんゲノム医療の推進に力を入れている。遺伝子検査では、患者のがん組織で起きている遺伝子の変化を網羅的に調べ、治療に有効な薬剤を探す。これまでの検査で約1割が治療に結びついた。検査の裾野は広がっているものの、年約100万人が新たに診断されるがん患者のうち、検査を受けられる人はごく一部にとどまっていることが浮き彫りになった。
 現在公的保険の対象は、臓器ごとの標準治療が終わった固形がんや、治療法のない希少がんや小児がんの検査に限られている。標準治療前に検査を受けるには50万円程度の検査費のほか、治療に関連する費用全てを自費で負担する必要があり、患者団体などから対象拡大を求める声が上がっていた。政府が21日に閣議決定した成長戦略「新しい資本主義実行計画」に保険外併用療養費制度の対象とする方針が盛り込まれた。