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H3、衛星打ち上げ初成功 JAXA ロケット本格運用に弾み


H3、衛星打ち上げ初成功 JAXA ロケット本格運用に弾み 種子島宇宙センターから打ち上げられるH3ロケット3号機=1日午後0時6分
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1日午後0時6分、国産新型ロケット「H3」3号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げた。災害の状況把握などに使う地球観測衛星「だいち4号」を目標の軌道に届け、今後の本格運用に弾みがついた。大型衛星の打ち上げ成功は、H3では3号機が初めて。
 離陸の約5分後に第1段目を分離し、約16分後に高度約613キロで衛星を切り離した。衛星は正常に動作していることが確認された。H3開発責任者の有田誠プロジェクトマネジャーは同日記者会見し「100点満点の打ち上げだった。成功に安堵(あんど)している」と述べた。
 H3はJAXAと三菱重工業が開発した2段式の使い捨て液体燃料ロケットで、「H2A」の後継機として日本の宇宙輸送を担う。国際月探査「アルテミス計画」や世界初の試料回収を目指す火星衛星探査でも活用が決まっている。世界で需要が拡大する衛星打ち上げビジネスへの参入も視野に入れている。
 昨年3月、1号機は2段目エンジンが点火せずに失敗、搭載した衛星「だいち3号」も失った。今年2月に成功した2号機は、1号機の失敗を受けて模擬衛星を載せていた。実用段階では年間6機のH3を打ち上げる体制を整える方針。
 だいち4号は夜間や悪天候でも観測できるレーダーを搭載、災害による被災状況や地殻変動の把握に使う。一度に捉えられる範囲が従来機より広がり、火山活動、地盤沈下、地滑りなど、異変の早期発見が期待される。