石川県の能登半島地震の被災者らは複雑な思いや不安と共に、発生半年の7月1日を過ごした。手つかずのがれきもあちこちに残ったまま。「あっという間の半年」「まだ何も考えられない」。日常を取り戻そうとする被災者や、犠牲者に祈りをささげる人の姿もあった。
地震が発生した午後4時10分。珠洲(すず)市の市立宝立小中近くで、同級生を亡くした前出(まえで)勝晴さん(74)が多数の住宅が倒壊した場所に向かって目を閉じた。「多くの人が亡くなってしまった。どうか安らかに」
大規模火災があった輪島市の輪島朝市周辺では市朝市組合員ら12人が約1分間黙とう。冨水(とみず)長毅組合長(55)は「改めて地震の風景や記憶がよみがえった。あっという間の半年だ」と話した。午前には市内で朝市の復興検討会も開催。漆器工房を営んでいた相上(あいじょう)義澄さん(48)は「関係者それぞれの思いがあるが、市全体を巻き込む復興の起点を目指したい」と前を向いた。
珠洲市の仮設住宅に住む従二(じゅうに)恵二さん(69)は地震の影響で勤務先の工場の閉鎖が決まっている。「仮設住宅は2年で出る必要がある。それ以降どうやって暮らしていけばいいのか」と不安な気持ちを漏らした。
早朝、4月に全線復旧した第三セクター「のと鉄道」の穴水駅(穴水町)を出発した列車では高校生らが友達と談笑する姿もあった。
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被災者「あっという間」 犠牲者へ祈り、目指す日常
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琉球新報朝刊
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