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川重裏金問題で特別監察へ 防衛省 海自は潜水艦乗員調査


川重裏金問題で特別監察へ 防衛省 海自は潜水艦乗員調査 川崎重工業から海上自衛隊に引き渡された潜水艦「はくげい」=2023年3月、神戸市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 海上自衛隊の潜水艦修理契約に絡み、川崎重工業が架空取引で資金を捻出していた問題で、木原稔防衛相は5日の閣議後記者会見で、契約の適正性などを調べるため、防衛相直轄の防衛監察本部による「特別防衛監察」を実施すると明らかにした。裏金とも言える資金を原資に、潜水艦の乗員に金品などが提供された疑いがあり、木原氏は「早急に進め、判明した事実関係に基づき厳正に対処する」と強調した。
 海自は潜水艦の乗員を対象にしたアンケートに乗り出した。調査対象は約1500人に上るとみられ、金品受領の有無や周囲で見聞きした経験があるかどうかなどを尋ねる。今後、既に潜水艦勤務から外れた隊員を対象に加えることや、必要に応じて直接聞き取ることも検討している。
 川重と防衛省は3日に問題を発表。川重によると取引先企業との架空取引による裏金捻出は遅くとも6年前に始まり、額は少なくとも十数億円に上るとみられる。慣習となっている乗員と同社社員の飲食代に充てられたほか、商品券や生活用品、工具などを購入し、乗員に提供した疑いがある。
 防衛監察本部は防衛省・自衛隊の全組織を調べる権限を持つ。特別防衛監察の実施は、2022年に元自衛官五ノ井里奈さんが実名で性被害を訴えたことを機に全自衛隊のハラスメントの実態を調べて以来となる。