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中国、日本大陸棚にブイ 四国沖公海、権益侵害懸念


中国、日本大陸棚にブイ 四国沖公海、権益侵害懸念 中国がブイを設置した公海
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は5日、中国の海洋調査船が日本の大陸棚に当たる四国南方の公海上にブイを設置したと明らかにした。林芳正官房長官は記者会見で「中国側が目的や計画の詳細を示すことがないまま小型ブイを設置したことは遺憾だ」と表明。中国側からは、ブイは津波観測用で、日本の大陸棚に対する主権的権利を侵害するものではないと説明を受けた。
 太平洋で中国によるブイ設置が確認されるのは異例。政府は重要鉱物など天然資源が豊富な大陸棚の権益が侵害される可能性を懸念し、警戒感を強める。ただ、現場海域はいずれの国の管轄権も及ばない公海で、政府は対応に苦慮する。
 日本政府関係者によると、日本最南端・沖ノ鳥島の北側に位置する「四国海盆」付近の海域で、中国の海洋調査船「向陽紅22」がブイを設置したのを6月中旬に確認した。ブイの大きさは2~3メートル。同船が東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)を航行している段階から動向を注視していたという。ブイ設置を確認後、外交ルートを通じて目的について説明を要請した。
 中国外務省の毛寧副報道局長は会見で「公海は全ての国に開放されており、科学研究を実施する自由がある」と述べ、日本側による遺憾表明に反論した。
 ブイが大陸棚に関する調査であれば、国連海洋法条約上、日本に通報する必要がある一方、中国側の主張通り津波観測用なら通報義務はない。政府関係者は「近くの海域では中国以外にも似たようなブイを設置している国があり、今回の対応は難しい」と話している。