有料

「宗教2世」救済十分8% 信仰強制禁止 求める声 共同通信アンケート 親族から虐待89%


「宗教2世」救済十分8% 信仰強制禁止 求める声 共同通信アンケート 親族から虐待89% 「宗教2世」アンケートの結果
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 安倍晋三元首相銃撃事件で着目された宗教を信仰する家庭に生まれた「宗教2世」(3世以降を含む)120人に共同通信が実施したアンケートで、悪質な寄付勧誘規制などの国の被害救済策を「十分」と答えたのは8%だった。親族らからの虐待を受けたとの回答は89%に上った。信仰を理由とした第三者からの不利益を受けたとしたのは72%。未成年時の信仰強制禁止を求める声も多かった。事件は8日で2年。救済の実感が乏しい現状が浮き彫りになった。
 アンケートは、2世支援を行う団体などを通じ5~6月実施。エホバの証人や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)、創価学会、オウム真理教などの信者を親族とする10~60代男女ら120人が回答した。
 国や民間に求める救済策を自由記述で問うと、判断能力が低い幼少期の信仰や宗教活動の強制禁止を多くが要望。望まない活動に参加させず、不利益なく脱会を可能にしてほしいとの要求も目立った。過去の虐待などで今も続く精神的な不調へのケア、相談体制の整備、脱会後に親族からの支援を受けられない際の経済的支援なども求めた。
 悪質な寄付勧誘を規制する不当寄付勧誘防止法(昨年1月施行)など2世を対象に含む救済策の評価に関する設問では「十分」または「どちらかといえば十分」は計10人だった。「不十分」または「どちらかといえば不十分」は合わせて77人。「どちらでもない」などは計33人だった。
 回答理由では、信仰が理由の進学・就職の妨害や虐待で今も経済的、社会的、精神的、長期的に問題を抱える2世を全面的に救済していないとの訴えが多かった。寄付取り消しの権利が限定的だとして、救済策の実効性を疑問視する声も。2世に着目して経済的な被害を防止する観点からの評価も一部にあった。
 信仰を背景とした親族らからの虐待経験の回答は107人。具体例では学費を払わないと言って脅すなどした信仰や伝道、進路、断食、多産の強要が挙がった。そのほか結婚や恋愛、友人関係、学校行事、医療の制限、多額献金による貧困生活、流血するほどの暴力やむち打ちなど多岐にわたっている。
 アンケートの方法 「宗教2世」の支援などを行う5団体と弁護士1人を通じて5~6月に質問票を配布し、10~60代の2世や3世計120人から回答を得た。回答者が記入した保護者らの宗教別の内訳はエホバの証人57人、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)36人、創価学会11人、誠成公倫2人、霊友会1人、オウム真理教1人、崇教真光1人、天理教1人、どの宗教か判別できない5人は「その他」とし、宗教名が無記入の5人は「不明」とした。回答結果の内訳の割合は全て小数点以下を切り捨てたため、合計値が100%にならない場合がある。