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イラン新大統領に改革派 19年ぶり 核開発で穏健路線


イラン新大統領に改革派 19年ぶり 核開発で穏健路線 ペゼシュキアン氏
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【テヘラン共同=渡会五月】イラン大統領選の決選投票で内務省は6日、改革派マスード・ペゼシュキアン元保健相(69)が、保守強硬派サイード・ジャリリ最高安全保障委員会元事務局長(58)を破り、当選したと発表した。改革派の大統領としてはハタミ元大統領以来、19年ぶり。欧米と対立を深めた保守強硬派の外交路線が融和路線に回帰する。(6面に関連)
 核開発問題などで国際協調を目指す穏健改革路線に転換するのはロウハニ政権(2013~21年)以来。日本とは伝統的な友好関係を維持するとみられる。ロウハニ政権は保守強硬派と改革派の中間、穏健派だった。
 ペゼシュキアン氏は6日、国民に向け「あなた方に手を差し伸べる。1人にしないと名誉にかけて誓う」と訴えた。X(旧ツイッター)に投稿した。タスニム通信は7月下旬に就任する見通しと伝えた。
 保守強硬派のライシ大統領が5月にヘリコプター事故で死亡したことに伴う選挙。米国の制裁で低迷する経済を立て直せなかったライシ政権への批判を集め、体制不満の受け皿となった。ただ、国政では保守強硬派が力を握るため、イラン核合意再建は容易ではない。
 最高指導者ハメネイ師は6日、ペゼシュキアン氏に対しライシ師の路線の継続を勧める声明を発表した。有権者は約6145万人。得票率はペゼシュキアン氏が53・66%、ジャリリ氏が44・34%だった。体制信任の指標とされる投票率は49・8%。過去最低だった第1回投票の約40%は上回った。
 ライシ政権は、ウクライナに侵攻するロシアに無人機を供給するなどロシアや中国と関係を強化し、欧米と対立を深めた。核開発を制限する代わりに欧米が制裁を解除する核合意の再建に向けた米国との間接協議は停滞した。経済苦境が続き、国民には不満が募った。