有料

デジタル教科書一本化に壁


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「通学時の荷物軽減へ、教科書をタブレットに取り込めないのだろうか」と投稿者の男性は愛媛新聞「真相追求 みんなの特報班」に意見を寄せた。現状や、他県の取り組みなどを調べた。
 文部科学省初等中等教育局教科書課によると、本年度から小学5年生以上の小中学生を対象に英語、算数、数学でデジタル教科書の活用を推進していくとする。ただ、「当面は紙の教科書との併用になる」としており、大幅な軽減にはつながらない。
 独自に、紙の教科書の代わりに、デジタル教科書が入ったタブレット端末を持って通学する取り組みを始めた地域もある。
 国のリーディングDXスクールに2校が指定されている富山県朝日町では、小学校全2校と中学校全1校で、新型コロナウイルス禍の時期に通年の水筒持参やタブレットの持ち帰りが始まり、重さを訴える家庭が増えたのを機に、昨年度の1学期に、紙の教科書の代わりにデジタル教科書が入ったタブレットを持って登下校する取り組みを試験的に実施。町教委によると、荷物の重さが平均で約2割軽くなり、生徒や保護者からおおむね好評を得たことから、2学期以降、本格実施している。
 中には「テスト前は紙の教科書で勉強したい」「視力の低下が心配」という声もあり、担当者は「紙の教科書の使用については、各自の判断に任せている」と説明。宿題もタブレットだけでなく紙のプリントも併用しているという。
 松山市教委にも、デジタル教科書に関して尋ねた。市教委は、小学5年~中学3年を対象に、英語は市内全域で、算数・数学は6~7割ほどの学校で導入済みと回答。ただ紙の教科書も併用しているため「現時点で重さの負担軽減にはつながらないのではないか」とした。 (増田有梨)
 (JODパートナー社の記事は第2・第4月曜掲載)