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ホットライン利用せず 海自中国領海航行 通常ルートで連絡


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北京共同】海上自衛隊の護衛艦「すずつき」が中国の領海で異例の一時航行をした今月4日、日中双方が防衛当局幹部間のホットライン(専用回線)を利用していなかったことが11日分かった。東京と北京の通常の外交・防衛ルートで連絡を取り合った。外交筋が明らかにした。意思疎通の在り方に課題を残した形だ。中国外務省は日本側が領海航行について「技術的なミス」と説明したと明らかにした。護衛艦「すずつき」は4日に中国浙江省沖の中国領海を航行。中国政府は同日、ホットラインは使わず外交ルートで日本側に深刻な懸念を伝達した。日本政府も同日、経緯を調査すると外交・防衛ルートで伝え、火消しを図った。
 当日は外交ルートが機能したが、関係者の間では、ホットライン活用を検討する余地もあったとの見方が出ている。

 ホットライン 緊急非常用の直通回線。2カ国の首脳や当局が直接対話できるよう設置された専用回線を指すことが多い。冷戦の時代、連絡の遅れで核戦争の瀬戸際に陥ったキューバ危機を教訓に、米ソ間で1963年に開設されたのが最初とされる。回線は「赤電話」とも呼ばれ、同様の仕組みが各国にも拡大した。