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黒川氏巡る協議開示へ 検察官定年延長 国が控訴断念


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年延長に絡み、法務省内で協議した記録の不開示決定の当否が争われた訴訟で、開示を命じた大阪地裁判決に対し、国側が控訴を断念したことが11日、関係者への取材で分かった。判決は控訴期限の11日を過ぎて確定。該当文書は近く開示されるが、国家公務員の定年に関する一般論の記載が大半で、官邸に近いとされた黒川氏の定年延長決定の背景は解明されない見通し。
 神戸学院大の上脇博之教授が「黒川氏の定年延長の際に法務省内で協議、検討した文書」の開示を請求したが不開示とされ、2022年1月に提訴した。法務省は検察官の定年延長を検討した文書の存在は認めたが、黒川氏を念頭に置いた協議はしていないと主張。大阪地裁判決は、黒川氏の退官予定の7日前に定年延長を閣議決定された点などを根拠に、省内協議は黒川氏の定年延長目的だったと推認した。
 法務省は従来の主張を維持する一方、開示対象文書は国会などに既に提出していたことから、判決が確定しても問題はないと判断したもようだ。
 検察官の定年は当時、改正前の検察庁法で63歳と規定。政府は長年「国家公務員法の定年延長制は検察官に適用されない」との見解だったが、適用できると解釈を変更し、20年1月に黒川氏の定年延長が閣議決定された。