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ネット偽情報 対策制度化 総務省案 SNS広告削除


ネット偽情報 対策制度化 総務省案 SNS広告削除 総務省の有識者会議の偽情報対策を巡るポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 総務省の有識者会議は16日、インターネットでの偽情報への恒久的な対策の制度化に向けた案をまとめた。交流サイト(SNS)で実業家の堀江貴文さんやジャーナリスト池上彰さんら著名人に成り済ました投資詐欺広告が急増したことを受け、ネット広告の事前審査の厳格化や基準公表、削除の仕組みを定めることが柱だ。今後、一般から制度案への意見を募集し、関連法の整備などを進める。
 投資詐欺を巡っては、政府が6月に当面の被害防止策を決めたが、事業者の自主的な対応の要請にとどまっており、総務省が法的な裏付けのある制度作りを続けていた。来年の通常国会を視野に、事業者に中傷投稿への対応を義務付けたプロバイダー責任制限法の改正などを検討する。
 生成人工知能(AI)などの新技術で偽情報は巧妙化しており、今回の案はより広範な偽情報対策を盛り込んだ。法整備などを通じ、実効性を保てるかどうか問われる。
 投資詐欺広告への対策としては、SNS事業者が広告の審査体制を整備し、日本に関する十分な知識を持つ人員を配置することを義務化。外部から広告の掲載停止を申し入れる窓口の整備や、本人確認を確実に行うことなどを明記した。
 違法な偽情報全般に対して、行政機関からの申請に基づく削除の迅速化も盛り込んだ。ただ、過度な規制は表現の自由の侵害につながる恐れがあり、行政による恣意(しい)的な申請を防ぐため、申請状況などの「透明性確保が不可欠」だと強調した。
 能登半島地震で「閲覧数稼ぎが目的とみられる複製投稿が多数確認された」との調査結果を受けて、不適切な投稿内容の管理や監視のあり方も議論。警告表示から広告報酬の支払い停止、情報の削除、アカウントの停止などの段階に応じた対応の具体化を進める。