退陣を表明した岸田文雄首相の在任中、県内では安全保障関連3文書の決定を背景とした南西諸島の防衛力のさらなる強化が進んだ。普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題では、自治体事務の初の代執行に踏み切り、大浦湾側の工事に着手するなど強行姿勢を打ち出した。沖縄振興特別措置法の延長を決めた一方で、沖縄関係予算は減額傾向が続いた。21年10月の就任から約2年10カ月の岸田首相と沖縄の関わりを振り返る。
各党、準備急ぐ<衆院選への影響>
岸田首相の総裁選不出馬表明を受け、取り沙汰されてきた年内の衆院解散・総選挙が現実味を帯びる。9月8日に宜野湾市長選を控える中、県内各政党とも総選挙に向けても準備を急ぐ構え。
政権与党の自民は県内4選挙区の県連支部長全てを現職が務めており、次期衆院選も現職4氏の出馬が既定路線だ。自民県議の一人は9月末の総裁選で選ばれた新総裁が選挙の「顔」となることから「イメージ一新で戦いやすい。選挙は早いほうがいい」と早期解散を望む。別の自民県議は、6月の県議選で公認候補全員が当選したことに触れ「この勢いのままで衆院選に臨むのが一番だ」と自信をのぞかせた。
県内全選挙区で事実上の統一候補を擁立してきた「オール沖縄」勢力。1~3区は現職が出馬するが、4区は複数候補者が名乗りを上げた。一本化に向けて4月に選考委を発足させ、協議を進めているものの先行きを見通せない状況が続く。
県政与党県議の一人は「新総裁になっても裏金問題や基地問題への対応に県民の拒否感は根強い。自公政権にとって決して簡単な選挙にはならない」と強調する。その上で4区について「早く結論を出さないともう猶予はない」と語った。
国政で第三極勢力とも位置づけられる日本維新の会も公認候補が2、4区で出馬意向を固めている。1、3区でも擁立を模索するなど、党勢拡大に向けて動きを加速させる。 (佐野真慈)