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環境アセスに意見書300件 浦添への軍港移設 県、生態系や景観を懸念 沖縄


環境アセスに意見書300件 浦添への軍港移設 県、生態系や景観を懸念 沖縄 ボーリング調査を進める台船などが浮かぶ浦添西海岸の予定海域=2024年8月23日午後、浦添市の西海岸(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 沖縄防衛局は23日、那覇軍港の浦添移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の計画段階環境配慮書に対する意見の受け付けを締め切った。防衛局は同日午後3時までに約300件の意見書が提出されたことを明らかにした。

 県は同日、配慮書に対して環境保全の見地から知事意見3項目22件を防衛局に提出した。

 県は事業容認の立場だが、知事意見は、埋め立て区域やその周辺で「良好な海域生態系が形成されている」として「埋め立て面積を最小限に抑える必要がある」と述べている。

 軍港の代替施設や防波堤の構造によって、海水の流れが滞り「周辺海域で低酸素海水塊が生じ、高海水温下でサンゴ類の白化による死亡が起こりやすくなる可能性があり、周辺の海域生態系へ重大な影響を与える」と懸念を示した。

 人と自然との触れ合い活動の場や景観への影響も懸念。隣接する自然海岸カーミージー周辺海域で浦添市と地域住民らが協働で自然再生に取り組んでいることから「関係者と十分協議を行う必要がある」とした。

 日米合同委員会が合意した埋め立て面積約49ヘクタールについて、算定根拠が示されていないとし、埋め立ての必要性のほか、代替施設の位置や形状、規模などの検討経緯を示すよう求めた。

 知事意見や環境保全への意見を受けて、事業者の防衛局は、環境アセスの調査項目や予測評価についての手法を記載する「方法書」の手続きに進む。 

(慶田城七瀬)