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基地や経済・雇用への取り組みは 宜野湾市長選 立候補予定者座談会(2)           


基地や経済・雇用への取り組みは 宜野湾市長選 立候補予定者座談会(2)            宜野湾市長選に向けて健闘を誓う(左から)佐喜真淳氏と桃原功氏=23日、沖縄市の琉球新報社中部支社
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 9月8日投開票の宜野湾市長選に向けて琉球新報は23日、立候補を表明している元市長で無所属の佐喜真淳氏(60)=自民、公明推薦=と市議で無所属の桃原功氏(65)=立民、共産、社民、社大推薦=を招き、沖縄市の中部支社で座談会を開催した。2氏は経済や雇用、普天間飛行場移設問題、子育て支援など、政策について議論を交わした。普天間飛行場移設問題については両氏共に早期の返還実現を訴えた一方で、政府が代替施設とする辺野古新基地は賛否が分かれた。クロス討論では政治姿勢や政策の財源などを巡り、白熱した論戦を展開した。(’24宜野湾市長選取材班)(文中敬称略)

出席者

 佐喜真淳氏(60)=無所属元職、自民、公明推薦
 桃原功氏(65)=無所属新人、立民、共産、社民、社大推薦
 司会 石井恭子(琉球新報中部報道グループ長)

普天間飛行場

返還期日明確化を 佐喜真氏
定期協議を求める 桃原氏

―米軍普天間飛行場の移設問題についてどう考えるか。

 佐喜真 返還合意から28年、一向に進んでいない。憤りを感じる。政府に返還期日の明確化を求める。危険性除去と負担軽減は市長時代から実践してきた。市道11号開通やKC130空中給油機の先行移駐などの実績がある。普天間飛行場の負担軽減推進会議は国、県、市の枠組みだが、可能であれば政府と市だけの協議会を持ちたい。辺野古問題は最高裁判決によって普天間の代替施設の辺野古は合法化した。SACO合意は普天間返還に代替施設が必要としており、容認せざるを得ない。あらゆる方策を講じて危険性除去、負担軽減に取り組む。
 桃原 28年経過しても返還しようとしない日米両政府を強く糾弾する。市民、県民の思いは一日も早い返還だ。96年の日米合意では5~7年以内とした。国会で審議せず、後付けのように閣議決定だけで辺野古への移設案が出た。普天間飛行場の司令官と宜野湾市長が普天間の課題を協議するミーティング(定期協議)の場ではPFAS問題も含めて協議されていない。定期協議を機能させるよう日米に求める。うるま市民が団結して自衛隊の訓練場を阻止したように、行政だけでなく市民も一緒になって世論喚起をして一日も早い返還を求めていく。

西普天間跡地

にぎわいある街に 桃原氏
県道81号改良要望 佐喜真氏

―西普天間住宅地区事業の評価は。来年1月に琉大病院が開院し、4月から医学部が開学する。渋滞や住宅不足対策は。

 桃原 西普天間住宅地区事業は松川市長や佐喜真元市長、そして伊波洋一元市長の時から進めてきており、この事業を高く評価している。私は市議になる28年前、西普天間住宅地区に面している県道81号沿いの「ぎのわんヒルズ通り」で自営業をしていた。今はおしゃれなカフェやブティックが並び、若者が散策して楽しめるようなまちづくりが形成されつつある。通りのそばには普天満宮や普天満山神宮寺もある。

 西普天間住宅地区とこれらの街並みを連動させて、普天間らしいにぎわいのある街づくりを進めたい。

 佐喜真 西普天間住宅地区の返還は私が市長時代に提案された。普天間飛行場の返還も見越して、当時政府に対して跡地利用のモデルとなるような事業展開を要望した。残念ながら当初要望した重粒子線がん治療施設設置と普天間高校の移転は実現しなかった。しかし、非常に大きなポテンシャルがある。

 琉大の移転に伴う渋滞対策は調査をしながら、県道81号の道路改良事業などを県に要望する。地区内から国道58号へ抜けるアクセス道路は現在那覇市向けだけが計画されているが、北谷町向けも可能かどうか市として努力したい。

経済・雇用

エンタメの中心に 佐喜真氏
産業誘致で雇用を 桃原氏

―経済活性化、雇用の創出、安定化にどう取り組むか。

 佐喜真 市長時代にサンエー宜野湾コンベンションシティなどを誘致し、総合的に西海岸が発展した。これを踏まえ、西海岸が経済、観光に寄与できるよう、官民一体となって取り組んでいきたい。8千人規模の屋外劇場は今、建設が進んでいる。コンベンションセンター、市立体育館、宜野湾港マリーナを一体に整備することによって、観光経済のさらなる核とする。また横浜DeNAベイスターズのキャンプ地でもある。野球場の改修も視野に入れながら、スポーツとエンターテインメントが西海岸でできる、そのような未来をつくっていきたい。

 桃原 最優先に取り組むべきは深刻な物価高騰と人手不足だ。県の実施する医療施設や農林水産業、水道・電気代高騰に対する支援の拡充を求め、市としても並行して支援したい。人出不足に対してはキャリア教育を徹底して県内就職を促進し、留学生などの多様な人材の掘り起こしを進めたい。また、労働者の賃金アップも欠かせない。実効性のある公契約条例を制定したい。市内事業者を最優先に、公共事業の分離分割発注も進めていきたい。普天間飛行場跡地にはエレクトロニクス産業など最先端産業を誘致して、大きな雇用の場を生み出したい。

佐喜真淳氏

 さきま・あつし 1964年8月9日生まれ。宜野湾市真志喜出身。千葉商科大卒。市議や県議を経て、2012年の宜野湾市長選で初当選。2期目途中の18年8月まで務めた。18年、22年の知事選に出馬したが、落選した。

桃原功氏

 とうばる・いさお 1958年11月4日生まれ。宜野湾市普天間出身。九州共立大卒。会社経営を経て97年の市議補選に立候補し初当選。現在8期目。市議会基地関係特別委員長を務めた。第3次普天間爆音訴訟団副団長。