衆院選で27日、与党が大幅に議席を減らす見通しとなり、石破茂首相(自民党総裁)の求心力低下は必至だ。首相は政権を維持したい考えだが、派閥裏金事件で関係議員らが非公認とされた旧安倍派を中心に、首相への不満が募っている。自民、公明両党で過半数割れした場合、政権維持のため多数派工作が必要となる。公示前から躍進した立憲民主党の野田佳彦代表は、他の野党との連携に意欲を示した。
首相は27日の民放番組で、政権を維持させる意向を示した上で、与党過半数割れの場合、一部野党に連携を呼びかける可能性を認めた。「どの政策なら一緒にやれるのかが優先順位の一番上に来るべきだ」と指摘。だが日本維新の会の馬場伸幸代表は自公連立入りを「全く考えていない」と明言した。国民民主党の玉木雄一郎代表も連立を組む考えはないと述べた。
関係者によると、首相は11月7日の特別国会召集を検討。首相指名を受け、第2次内閣を発足させる構えだ。
ただ与党が過半数を割った場合、日程の再調整を迫られる。
一方、野田氏は衆院選で政権交代を訴えたが、維新や国民、共産党などとの協力は限定的だった。野党が結集し連立政権を発足させるのも容易ではない。野田氏は27日の民放番組で「自公政権の継続は駄目だとの立場で政治改革を推進するとの一致点があるなら対話していきたい」と話したが、馬場氏は立民との連立に関しても、政策面で違いがあるとして難色を示した。
首相は政権を継続できれば、物価高対応を含む経済対策を実行するため、大規模な2024年度補正予算案を編成。野党の賛成を得るため内容や時期の見直しを求められる展開も想定される。
首相「裏金、一番の敗因」
石破茂首相(自民党総裁)は27日夜、衆院選投開票を受けてテレビ各局の報道番組に相次いで出演し、自民単独の過半数割れが確実となった状況を「極めて厳しい状況だと認識している」と受け止めた。苦戦の要因に自民派閥裏金事件を挙げ「政治とカネの問題について私どもの説明が十分ではなく、全くご理解をいただけていないことが一番大きかった」と分析した。
自民、公明両党の与党過半数割れとなった場合の政権維持には意欲を表明。「われわれが掲げた政策の実現に向けて最大限努力していかないといけない」と述べた。
(共同通信)