人口比例に基づかない区割りで「1票の格差」を是正せずに実施された今回の衆院選は憲法違反だとして、升永英俊弁護士ら二つのグループが28日、289小選挙区全てのやり直しを求めて全国14の高裁・高裁支部に一斉提訴した。早ければ来春に各地の高裁判決が出そろい、2025年度中にも最高裁が統一判断を示す見通し。
投開票日の27日時点の最大格差は2.06倍で、前回21年衆院選の2.08倍から縮小した。最高裁大法廷は21年衆院選の格差について、23年1月の判決で「合憲」と判断している。
升永弁護士は東京都内で提訴後に記者会見を開き「国会は格差是正の努力を怠っている。違法な選挙では、選ばれた国会議員も、国会議員の投票で選出される首相も正当性がないことになる」と強調した。
同席した伊藤真弁護士も「東京と地方だけの問題ではなく地方間でも1票の格差は生じている。どこに住んでいても等しく声が届く選挙でなければならない」と述べた。山口邦明弁護士らのグループも28日午後、広島高裁に提訴。東京高裁にも訴訟を起こす見込み。選挙の効力に関する訴訟は高裁が一審となる。
(共同通信)