国連の女性差別撤廃委員会が日本に選択的夫婦別姓の導入を勧告したのは、ほとんどが夫の姓を選ぶ見えない「圧力」に無自覚なままの日本社会全体に意識改革を促すためだ。過去に3回の勧告を受けながら政府はこの問題を放置してきたが、折しも27日投開票の衆院選では姓の選択に柔軟な姿勢の候補者が多く当選した。これ以上の怠慢は許されない。 (1面に関連)
姓の変更は行政手続きでの不便にとどまらず、仕事面での不利益が生じる。日本は先進7カ国(G7)で唯一、夫婦にどちらかの姓を強いてきたが、近年は世論にも変化がみられる。共同通信の5月の世論調査では選択的夫婦別姓への賛成が76%だった。6月には経団連が早期導入を提言し、今や経済界も前向きだ。
これまで「伝統的な価値観を損なう」との反対論が根強かったが、問題は「選択の自由」であり、選択的夫婦別姓の導入が夫婦同姓を希望する権利を侵害するわけではない。政府は後回しをやめ、今すぐ姓の選択の自由化に取り組むべきだ。 (ジュネーブ共同=畠山卓也)
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選択的夫婦別姓を勧告 無自覚日本に意識改革促す
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琉球新報朝刊