【交差点】香港のペットブーム


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 近所のクォーリーベイ公園では、夕方になると公園入り口にペットの犬を連れ出している愛犬家をよく見かける。公園内は犬の帯同が禁止されているので、公園の外で犬の散歩を終えた愛犬家が公園入り口に集まり、そこが愛犬家同士の社交の場となっている。
 香港の住宅は高層の集合住宅が多く、1戸当たりの面積が狭いのが一般的だ。この狭い住宅でどのように犬を飼っているのだろうと思うが、公園入り口に集まっている犬を見ると、よく手入れされているのが分かる。どの犬も毛並みがつやつやと輝き、健康そうで立派だ。愛犬家はペットを家族同様にかわいがっていて、中には飼い主の服とおそろいのデザインでペット服を作る人もいる。
 香港ではこのようなペットブームにより、ドッグフードの輸入量が3年続けて増加しているという。ドッグフードは数十種販売されているが、特に高級なドッグフードの需要が増加し、有望な市場として期待されている。ちなみに小型犬1匹の飼育費用が月に約2000香港ドル(約3万円)といわれている。これに犬の美容室、しつけ教室、健康診断などペット関連サービスを含めると市場として十分魅力があるのが分かる。
 飼い主にもペットにも満足できるサービスを提供することで、ビジネスにつなげる。人とペットとの共生を手掛かりに、ビジネスに生かせないかと感じた。
 (志村正人・県産業振興公社香港事務所長)