【交差点】歴史と観光の街マカオ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 香港からフェリーで西に1時間ほどでマカオに着く。マカオは与那国島とほぼ同じ面積に48万人が住む過密都市だ。そこを訪れる観光客は年間約1900万人。マカオはカジノで有名だが、16世紀に日本、中国とヨーロッパとの中継貿易で栄えた歴史を感じさせる観光地としても人気がある。
 マカオがポルトガルから中国に返還された1999年前後は治安が悪く、カジノが治安悪化の要因とされていたようだが、今では安心できる観光地となっている。マカオ在住20年の日本人女性が「日本と変わらないほど治安は良い」と話すほどだ。
 治安の改善とともにカジノのイメージも向上。これまで1社が独占していたカジノ経営は、2004年に新規参入が認められ、新たに米国系カジノ2社が参入した。新規参入の相乗効果でカジノの売り上げが上がり、サービスも向上した。
 さらに観光客を増やそうと、マカオ国際空港の拡張工事やコンベンション施設、劇場などを有する複合リゾート施設の建設が進められている。観光リゾート地として整備するとともに、世界遺産に登録された聖ポール天主堂跡など25の歴史建造物を巡る観光とうまく組み合わせることで、マカオの魅力を高めようとしている。
 経済発展では香港に後れを取ったマカオ。香港にはない歴史遺産の保護と活用のバランスを取りながら、経済発展を推し進めている。
 (志村正人・県産業振興公社香港事務所長)