【チャイナ網路】「猫島・座間味」


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 台北で「猫島・座間味」という写真集を見つけた。著者は「優雅な瞬間」や「ニャンコが教えてくれたこと」など、数々の“猫本”で知られるフォトジャーナリストの呉毅平。昨年の出版だが、台湾最大手の誠品書局で平積みとは、なかなか売れ筋の様子だ。
 「座間味島では増え過ぎた野良猫が、海鳥の卵を食べ、海鳥が激減」というニュースをきっかけに、島を訪れた著者。群成す猫を唯一の道案内に、猫の目線で塀の上から人家をのぞき込み、捨てられたごみを検分する。取材は、20日にも及んでいる。
 船が港に着くや、にわかに活気づく猫たちのときめき! 野良仕事をするオジイの肩に乗り、路傍に腰を下ろしたオバアの足にまとわりつく、猫と人が織りなす何げない一場面。ちょっぴり出した猫の舌先にも、気ままで心地よい“島のにおい”があふれている。
 「こんなに野良猫がいるのに、なぜ家でも猫を飼うのか」。こういう著者の疑問に、いみじくも島人は答えている。「世の中に女はごまんといるが、やはり女房は欲しいだろ?」。猫も人も、愛さずにはいられない。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)