昨年来、カードによる多重債務が原因の犯罪や自殺が多発している。今やカードは1人平均5枚以上。時には月収の100倍以上にもなる債務を、また別のカードローンで返済するという無間地獄だ。彼らを“カードの奴隷”と呼んでいる。
きっかけの過半数が、無計画な消費と事業の失敗。約20%と利率は高いものの、月々総額の1―2%を返済すればいい手軽さに目がくらむ。完済のあてもないまま、返し続ける奴隷は、約50万人。新首相就任わずか38日で、42人が自殺する異常事態だ。
ろくな信用調査もないまま、カードを乱発した銀行やクレジット会社に非がないわけではない。銀行公会も昨年末、債務者との協議機関を設立し、事態の解決に乗り出している。カード債務者は、不良債権の時限爆弾。見過ごせば、かつて韓国が陥った金融危機の可能性さえある。
台湾の破産法では、事実上自己破産ができないという制度的な問題も、自殺者を増やす原因だ。破産後4年はタクシーにも乗れない、香港式のキツイお灸(きゅう)も考慮に入れつつ、政府は今、救済のための法改正を急いでいる。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)
【チャイナ網路】カードの奴隷
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琉球新報社
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