【チャイナ網路】“待ち時間”ビジネス


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 台北のMRT(新交通システム)のホームには、数メートル置きに天井から50インチのプラズマテレビが下がっている。CMやスポットが流れる主画面の横には、天気予報等の副画面。秒単位で電車の待ち時間も表示されるため、利用者は自然と“斜め上を見上げて電車を待つ”というスタイルになる。
 交通機関は今や、それ自体が広告媒体だ。ラッピングバスなど、平面広告も多いが、ここ数年伸びているのは、“待ち時間”に着目したビジネス。市バスのBee・TVもそのひとつ。車内で毎日18時間映像を流し続けている。
 台北市のバス利用客は、1日170万人以上。ターゲットが特定しやすく、ピンポイントで情報を伝えられるのが強みだ。が、受け手の自由度が低い空間では、押し付けがましさが高いのも事実。「音がうるさい」等の苦情もある。
 その点MRTのホームは、空間的に広い上、なんとも殺風景。受け手が感じる押し付けがましさも比較的薄い。5年間の使用権が28億円という仰天の価格だったが、広告主には好評のようで、落札した広告代理店は、順調に売り上げを伸ばしている。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)