台中にも有名牛肉麺店は数々あるが、とりわけ「将軍牛肉麺」には足繁く通った。台北とは一味違う上品な味と充実した小皿料理が魅力。せいぜい“町の食堂”レベルの店構えだが、店主・張北和氏は開店わずか3年で、台湾調理界のトップに立った腕前だ。熱狂的ファンも少なくない。
もじゃもじゃのあごひげに、半袖シャツと短パン姿がトレードマーク。「将軍」という店名も、暇にまかせて将棋を始めたところ、思わず熱中。「将軍」(王手)が掛かるまで客を待たせたのが由来だとか。相当な変人でもある。
オリジナル料理「頭角崢榮」を引っさげ、プロ調理人の全国コンテストに挑戦した際も、この格好だ。審査員で美食家の唐魯孫を激怒させたが、実は、唐氏には珍しく記念写真を求めるほどのほれ込みようだったというエピソードもある。
その後、同賞を2度受賞。中国でも高い評価を受けた。が、先ごろ、体調不良を理由に、店の看板と秘伝のレシピを売りに出した。4700万円という高値で競り落とされ、店の味は継承されることになったが、氏のリタイアを惜しむ声は少なくない。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)
【チャイナ網路】「将軍牛肉麺」の変人
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琉球新報社
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